【特集】令和元年産「ゆめぴりか」北の大地から皆さまの食卓へ

北海道米の新たなブランド形成協議会 会長 佐野 彰俊氏

9月中旬、道内でも有数の米どころ上川地区では、収穫作業のピークを迎えていました。秋晴れの中、旭川市にある佐野彰俊氏の圃場では「ゆめぴりか」、「ななつぼし」の収穫中。佐野氏は「北海道米の新たなブランド形成協議会」の会長も務めています。今年の米作りと「ゆめぴりか」にかける生産者の思いを伺いました。

生産者自らが守る「ゆめぴりか」品質

収入は減っても「ゆめぴりか」の基準は変えない

 黄金色にたなびく稲穂をコンバインで刈り取っていく佐野氏。少しホッとしたような穏やかな表情です。

 「昨日『ゆめぴりか』が終わって、今日から『ななつぼし』の収穫です。間違いなく昨年よりはいいですね」

 昨年、平成30年産の北海道米は天候に恵まれず不作。佐野氏も例外ではありませんでした。「ゆめぴりか」を作り始めて8年、初めてのことだったといいます。6~7月の低温、日照不足で、苗が株分かれして茎を増やす「分けつ」が抑制され、穂数、籾数が少なくなったのです。しかし、今年は気候に恵まれ、順調に生育。稲穂は重そうに頭を垂れています。

 佐野氏は生産者が中心となって「ゆめぴりか」の品質を守るために結成された「北海道米の新たなブランド形成協議会」の会長を務めています。「ゆめぴりか」には精米蛋白基準7 .4%以下などの基準があり、基準を満たした「ゆめぴりか」には米袋に認定マークが付いています。平成30年産の「ゆめぴりか」は収量が少なく、基準外のお米も多く出てしまいました。

 基準外のお米は基準を満たす「ゆめぴりか」よりも低い価格となり、生産者の収入は減少。しかし、「北海道米の新たなブランド形成協議会」を構成する生産者たちから、基準を変えようという声は一切ありませんでした。

 「いい年も悪い年も基準値は変えない。決まりを守っていくのが、北海道米の信頼の証になる。米の産地として生き残るには、そういう気構えじゃないとやっていけないって、みんな思っているんですよ」

北海道を代表する米を作る誇りを持って

 佐野氏は農家の3代目。米作りに携わって35年になります。始めた当初は、北海道米がやっかいどう米、猫またぎ米と呼ばれた時代で「おいしくない」といわれながら作るのは本当に辛かったといいます。しかし、昭和63年に誕生した「きらら397」によって北海道米は大幅にイメージアップ。米作りに手応えを感じるようになりました。現在は30haの圃場のうち、低蛋白になりやすい土壌を選び、4.5haで「ゆめぴりか」を作っています。

 佐野氏によると「ゆめぴりか」はもともと多収で蛋白値が上がりやすく、良食味のために低蛋白にするには、施肥や水管理などきめ細やかな管理が求められます。

 「ここまでがんばれるのは、地域や『北海道米の新たなブランド形成協議会』など同じ目標を目指す仲間がいるからこそ」と語ります。

 「この辺りはみんな圃場の面積が広くて、機械も入れている。切磋琢磨して取り組んでいます。特に『ゆめぴりか』は低蛋白じゃないと『ゆめぴりか』じゃないから。『ゆめぴりか』作りは繊細で難しいけれど、北海道を代表する米を作るという誇りを持って取り組んでいます」

 「北海道米の新たなブランド形成協議会」では「ゆめぴりか」の新たな取り組みの一つとして、5年間継続して基準をクリアした「ゆめぴりか」を出荷した生産者を、来年の春に表彰する予定です。該当する生産者を讃えるとともに、その技術を広く共有していきたいと考えています。

 「昨年のような不作の年でも結果を出せる生産者は、北海道の米作りの匠として誇れる存在だと思います。自分はダメだったんで、まだまだなんですが( 笑)」

 北の大地で真摯に米作りに取り組む生産者が、「ゆめぴりか」の品質を支えているのだと感じました。

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